No,21・・・水と蛇
最終更新日:2019年1月25日
今年の干支にちなみ、今回は蛇に関する文化財を紹介します。
弁才天/蛇身像
湧き水や池・川などの水辺には、水神として弁財天がまつられていることがよく見受けられます。
蛇は弁財天の使者とされていることから、蛇の姿をした人頭蛇身の像や、頭上に蛇を刻む弁才天像が社や祠にまつられています(右の写真は、東大久保・阿蘇神社境内にある「頭上に蛇を刻んだ弁財天像」)。
市内には30近い数の湧き水があり、弁才天像も水子・鶴馬・南畑それぞれに10基近い数が確認されています。真夏でも枯れることのない清水の豊富な水子地域はもちろん、鶴馬には七沢八寺の言葉があるように、かつて沢から清水が湧き出ている場所が多かった地域です。また南畑の水田地帯では、水神としてだけでなく五穀豊穣の神としてもまつられたと考えられます。
その中でも、蛇身の姿をしたものは市内に2か所あり、ひとつは諏訪氷川神社脇にある雲居の瀧と呼ばれる湧水地の傍らにある弁天社、そしてもうひとつは水子の石井緑地にある弁天社です。ここも湧水地としてかつては豊富な水量を湧出していました。こうした社や祠には、蛇の好物である卵をお供えしているところや、蛇にまつわる昔話が残っているところもあります。
湧水地にある弁財天をまつる社 (水子性蓮寺近くの江嶋神社)
水子石井の蛇身像
巳待塔(みまちとう)
己巳の日、あるいは戌辰の日や巳の日に、同じ信仰をもつ講中の集まりや個人で遅くまで起きて精進供養をする行事を巳待と言いますが、この供養に際して建てられたものが巳待塔です。巳待の本尊も弁才天とされていますので、塔にその姿が刻まれて、中には頭上に蛇身をいただいているものもあります。水をつかさどる弁財天を五穀豊穣のための農業神として、または財宝を恵む福神としてなど、さまざまな意図から各地で信仰されています。
左の写真は、上南畑の巳待塔(個人宅)
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