特定非営利活動法人勇気づけ学園(社会教育・子どもの健全育成)
法人についての詳細は埼玉県NPO情報ステーション(外部サイト)をご覧ください。
取材レポート 平成28年12月21日実施
子どもたちが主体の学びを導く
特定非営利活動法人勇気づけ学園は、子どもたちの生きる力を育てる活動を行っています。
原田代表理事は、奥様がアドラー心理学を学んでいたことがきっかけで、アドラー心理学と出会いました。埼玉県内の小学校で教員をされた経験があり、クラスを担任されたときはアドラー心理学に基づいた子どもの考えを大切にするクラスづくりに努められたそうです。
クラスを担任したとき、人と話そうとしないことで知られていたお子さんには、本人とクラスの子どもたちに、状況を変えるためにどうしたらいいのか考える働きかけをしました。すると卒業式では、お子さんは一人で感謝の言葉や思い出などを語る「呼びかけ」ができたそうです。
そして、子どもたちの能力をもっと伸ばすため、学校から出て自分の活動を広めたいと考えるようになり、勇気づけ国語塾もスタートさせました。
活動する中で大切にしているのは、アドラー心理学に基づく「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」。興味や関心から様々なことを学んだり、自分で考えて行動できる子どもを育てていきたいと考えています。
全国各地でアドラー心理学を学ぶ方々と一緒に本法人を設立し、今では、スタッフが17人。活動も口コミで広まりを見せているといいます。
アドラー心理学って?
原田代表理事に、アドラー心理学の考え方について伺いました。
1.「目的」があって行動を起こす
人は自分のメリットとなる「目的」のために行動するといいます。
例えば、コンビニに集まる子どもたちの「目的」として、「注目されたい」という気持ちが考えられるといいます。
クラスでちょっとしたいたずらをして先生に叱られ注目されることを知ると、ますます悪さをしてしまう子どもがいます。
「悪い行動はあえて注目せず、いいことをしたときに認める。いいことをすれば注目されることを意識づけます。このように目的に着目すると相手を客観的に見ることができ、解決方法も見つかりやすいです。」と原田代表理事はおっしゃいます。
「失敗は次に生かす材料となる」という考え方もあります。「だから私はむやみに怒ることはしません。例えば、子どもがうるさくして先生に『静かにしなさい!』と怒られたとき、子どもは、先生に怒られるのが嫌だからという目的で静かにしようとするようになります。本来の、話をよく聞くために静かにしてほしいという目的が伝わらず、話す人が先生以外のときには、またうるさくしてしまうことがあります。」
2.自分にも相手にも不完全さを認める
「桃太郎は好きですか」と原田代表理事から突然の質問がありました。
「本を使った学習では好きか嫌いかはっきりさせて、具体的な理由も考えてもらいます。すると、子どもたちは、『桃太郎は予告もせずにいきなり鬼ケ島に言って鬼を退治した。金太郎は鬼をだまして退治した(金太郎のモデルとなった坂田金時が大江山で酒呑童子を退治した話)。
どちらも良くないけど、だます方がよくない気がするから、桃太郎が好き。』と意見を言うようになります。
「そばが好きな人に、『自分はうどんが好き』ということは何も不思議なことではないですよね。
『嫌い』の伝え方と『嫌い』と言える環境づくりが大切だと考えています。」
コミュニケーションを重ねながら、人と人がほどよい関係を続ける考え方です。
3.自分の考え方や性格は、変えることができる
「よく『人は変わることは難しい』と考えがちですが、思い込みをなくせば、誰でも変われる可能性はあります。」と原田代表理事はおっしゃいます。
活動で使うものの一つに、「あるあるレンジャー(出典:株式会社ハートマッスルトレーニングジム)」というカードがあります。
「あるあるレンジャー」には、「なまけものレンジャー」「あわてものレンジャー」といったネガティブなレンジャーと、「コツコツやれるんジャー」「まいにちたのしんジャー」といったポジティブなレンジャーのカードがあります。
まずは、「今の自分」レンジャーを選んでから、どんな自分になりたいか「未来の自分」レンジャーを選びます。レンジャーカードを通して、自分自身を客観的に見ることが目的です。
レンジャーが簡単に「変身」することも、子どもたちが「変われる」と考えられるきっかけとなるようです。
大切にしていること~子どもがルールを考える~
原田代表理事は、教員時代に実践していた方法をお話ししてくださいました。
「例えば、忘れ物をした子どもがいたとします。頭ごなしに怒って、『明日持って来い!』というのは意味がありません。子どもが責任をどのようにとるかを考えさせることが大切です。
『明日持ってきます。』と言ったら、子どもが納得して出した解決方法として実行してもらいます。
課題も自分で考えます。漢字テストがあったら、勉強方法について『何回書くのか、見るだけでもいいのか』など、自分はどうしたら覚えることができるか、自分で考えてもらいます。」
子どもが納得して考えたルールだからこそ、守ることができなかったときは、子どもと決めたできなかったときの約束を実施していたそうです。
大切にしていること~環境を整えれば、子どもは育つ~
「大人は、指示するのではなく環境さえ整えれば、子どもは育つ。子どもの力を信じています。」
と原田代表理事をはじめとしたスタッフのもと、子どもたちはいきいきと学んでいます。
年上の子が自発的に、年下の子に作業を教えます。「先生から教わるよりも、年齢の近い子どもから教わった方が切磋琢磨するんです。」とも、原田代表理事はお話しくださいました。
家庭でできる子どもとの関わり方
家庭でもアドラー心理学の考え方を生かし、ルールや環境を整えられます。
宿題については開始時間などを子どもと話し合って、子どもが納得した状態で決めることが有効とのことです。
逆に、やめさせたいものは義務化すること。ゲームをやめさせたいのであれば、戦って倒したキャラクターをこのノートに全部記録するよう義務付けるなどすると、「義務」の意識が発生し、ゲーム自体をやめる可能性が出てくるとのことです。
今後の活動について、市内でも機会があれば講演やイベントを行いたいと熱意を持って語ってくださいました。また、勇気づけに関する学校の設立に向けても日々活動されています。
「勇気づけほいくえん」と「勇気づけ学園小学部」の活動については、原田武敬オフィシャルブログをクリックするとご覧になれます。(外部サイト)
子どもを子ども扱いせずに、考え方を尊重すること。大人が「うまくいかない」と考える環境は、時に大人が生み出していることもあるかもしれません。子どもと大人のお互いが自立し、より過ごしやすい環境を作り出している原田代表理事の活動は今後も続いていきます。
勇気づけ学園の活動をさらに詳しく知りたい方は、次の連絡先までご連絡ください。
連絡先 担当:原田 049-293-9160
まるで授業のようにホワイトボードで説明してくださった原田代表理事。ありがとうございました!
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協働推進課 自治・防犯グループ
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