本目遺跡と氷川前遺跡の注口土器
最終更新日:2023年8月9日
本目遺跡と氷川前遺跡の注口土器
本目遺跡(関沢2丁目)と氷川前遺跡(大字水子)から出土した縄文時代後期中頃(約4,000年前)の注口土器です。注口土器とは、注ぎ口と、ひもなどを通して持つための取手が付いた、現代の土びんやきゅうすと同じような形をした土器です。縄文時代後期にこのスタイルが成立します。
この2点の注口土器は、ほぼ完全な形状を保っており、本目遺跡のものは器高19.0センチメートル、口径8.5センチメートル、胴径22.0センチメートル、氷川前遺跡のものは器高13.8センチメートル、口径8.2センチメートル、胴径14.7センチメートルを測ります。器面は、全体がていねいに磨かれ、黒色をしています。注口土器をはじめとするこの時期の土器は、わざと黒色にしているものが目立ちます。通常の土器の焼き方では黒くはなりません。縄文土器づくりサークルがこのような黒い土器を作る方法は、一斗缶に詰めたもみ殻の中に、焼いてすぐの熱い土器を入れ、そのままフタをしてしばらく放置します。すると、もみ殻が炭化し、それが土器の器面に吸着して黒くなります。もちろん、縄文時代にはもみ殻も一斗缶もありませんから、穴の中に砕いた枯れ葉などを詰めたりしたのかもしれません。
注口土器の使用方法は、よくわかっていません。液体を入れたことは確かなのですが、それが酒なのか、それとも果汁や水なのか。また、祭りや儀式などの特別な日に使用したものなのか、それとも日常的な道具なのか、とても謎めいた土器なのです。
左側は本目遺跡・右側が氷川前遺跡出土
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